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日朝交渉について

07年03月09日

No.359

ベトナムのハノイで3月7日から行われていた日朝交渉は、たった2日間、時間にして3時間あまり行われただけで次回の日程の合意もなく終った。安倍首相は、きっと複雑な思いであろう。政治家からみれば、安倍首相の外交能力はお粗末極まりない。安倍首相は北朝鮮の不誠実・不条理な点を強調して、今回の日朝交渉で成果がなかったことの責任をかわそうとするであろうが、これはそういう問題ではないのだ。安倍首相の北朝鮮政策は、動機が不純であり、間違っているのだ

「私は日中首脳や要人が相互訪問することは良いことだ思っております。しかし、そこに変な思惑があってはならないと考えます。真の友好関係を築くには、相手の民族に対する尊敬と畏敬の念をもって外交を行う必要があるというのが私の信念です。日本の一部の人たちにはアジアの国々や民族に対する尊敬と畏敬の念が欠けています。中国の一部にも大国主義的なところがあるような気がします。辛亥革命の前、多くの中国人が当時としては近代化した日本を学ぶために留学しましたし、中国革命を支援した日本人も多くいました。日本が中国を侵略したことは事実ですが、日中の歴史はこれだけではありません。

白人の植民地的支配を受けなかった日本に対して、多くのアジア人が尊敬と畏敬の念を持っていることは事実としてあります。しかし、最近の何でもアメリカべったりの姿は尊敬と畏敬の念を抱かせるものでしょうか。日本民族が独立自尊の気概をもっていると感じられているのでしょうか。あの北朝鮮にすら日本は六ヶ国協議に出席する必要がないといわれています。私には、日本には拉致問題があるのだから六ヶ国協議から外さないでくれと安倍首相は世界中を回って哀願しているように見えてしょうがないのですが……。北朝鮮問題は、過去も現在もそして将来も一衣帯水の関係にある国・民族同士の問題である、そのために必要なことは何でもするし、避けて通れない問題は絶対にいい加減にしないという毅然としたものが必要だと私は思います。」

これは、いつも紹介している平成海援隊BBSに、2007年1月14日私が書き込みをした文章からの抜粋である。私は国会議員時代、中国には1回しか行ったことがないし、北朝鮮には1回も行かなかった。しかし、韓国には20回くらい、台湾には10回くらい行った。そうすると私は韓国・台湾派とみられるかもしれない。現にそういう人もいた。しかし、私にはひとつの考えがあった。1979年私が国会議員に当選したときは、自民党から共産党まで中国、日中友好と口を揃えていった時代であった。だから、私如きが出る必要はあるまいと思ったからである。大切なのは、国と国との正式な外交関係がなくなった日本と台湾との友好関係を保つために少しでも役立ちたいという思いがあった。

韓国には、日韓議員連盟に設けられていた「在日韓国人の法的地位に関する委員会」の副委員長を務めていた関係で、仕事で年に数回行かなければならなかった。北朝鮮に行かないかと何度も誘われたが、付き合っていた韓国の人たちの心情を思いやるととても行く訳にはいかなかった。大韓航空機爆破事件もあった、南北朝鮮が厳しく対峙していた時代である。一緒に行ったグループは、反共を唱える自民党の議員が多かった。安倍晋三君は、当時まだ安倍晋太郎氏の秘書をやっていた。彼が国会議員だったら、勇んでそのグループに加わっていたであろう。要するに、日韓議連に熱心な自民党の国会議員は、そういう人たちが多かったのだ。

韓国・台湾に行くと、ここをかつてわが国が植民地にしていたことをシッカリと頭において行動や発言しないと必ずおかしなことになる。そういう意味では、やはり緊張感をもたざるを得ない。しかし、いつもそんなことを考えていたのでは、万事が窮屈になる。そこで私が自分に言い聞かせたのは、相手の国や民族に対して尊敬と畏敬の念をもって接する以外にないということだった。そう心から思って行動したり発言すると、かなりフランクに話をしても相手の方々の感情を害することはなくなった。以来、私は外国に行ったり、外国の人と付き合うとき、尊敬と畏敬の念をもって接することを心がけている。

小泉純一郎首相が電撃的に北朝鮮訪問を行った動機や安倍氏が拉致問題に熱心に取り組んできた動機は、「北朝鮮問題は、過去も現在もそして将来も一衣帯水の関係にある国・民族同士の問題である、そのために必要なことは何でもするし、避けて通れない問題は絶対にいい加減にしないという毅然とした」ものだったのだろうか。小泉氏や安倍氏の政治的考えを長年の付き合いで知っている者として、私にはどうしてもそうは思えなかった。

北朝鮮との国交正常化や拉致問題を政権浮揚の手段として使っているような気がしてならないのだ。拉致問題が思うように進展しなくなると、両氏とも明らかに反北朝鮮感情を煽るようなビヘイビアをとった。反北朝鮮感情は、わが国の一部に厳然としてある。それに乗っかることはたやすいことだが、日朝関係は「過去も現在もそして将来も一衣帯水の関係にある国・民族同士」の問題であるからやってはならないことなのである。

それでは、北朝鮮とどのように付き合っていけばよいのか。北朝鮮という国が特殊な国であるから、非常に難しい問題であることは確かである。北朝鮮の体制が変わらない限り、解決できない問題もあると思う。だからといって、レジーム・チェンジというわけにもいくまい。レジーム・チェンジとは、体制を変えることである。北朝鮮の体制を転覆させることである。

こんなことをたとえカタカナだからといって政治家が口にすることは許される筈はない。北朝鮮の体制選択は、あくまでも北朝鮮人民のものである。歴代のわが国の指導者が北朝鮮問題にあえて手を触れなかったのは、「積極的無視というひとつの外交政策」だったような気がするのである。政権維持のために北朝鮮問題を使うより、はるかに賢明な外交政策だったと私は思う。従軍慰安婦の問題でも、安倍首相はいわずもがなのことをいっている。こういう感覚では、日朝交渉がうまくいくはずがない。

それでは、また明日。

  • 07年03月09日 02時05分AM 掲載
  • 分類: 3.国際政治・外交

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