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異常なのは、果たしてどちらか!?

07年11月25日

No.624

お陰さまで(笑)、魁皇が琴光喜を破り、カド番を脱出した。オーストラリアの総選挙では、外交政策で小泉首相と同じように一貫してブッシュ大統領に追随してきたハワード首相が大敗を喫した。11年ぶりの政権交代である。ハワード首相は財政黒字化を達成し、失業率を史上最低水準にするという成果を挙げながらも総選挙で敗れた。主な争点は、イラクからの撤退と京都議定書の批准だったという。

少し古いことになるが、スペインで大規模な列車爆破テロ事件があった。その直後に行われた総選挙で野党が勝った。政権についた野党は、イラクから撤退した。スペインははたして国際的に孤立したのだろうか。今度誕生するラッド首相がイラクから撤退した場合、オーストラリアは国際的に孤立するのだろうか。私はそうは思わない。多くの国々は当然のこと、仕方ないことと受けとめるであろう。それが普通の感覚である。国政選挙で大敗しようが、アメリカに忠誠を誓わなければならないという国が異常なのである。そのことの方が、諸外国には奇異にうつるであろう。

入国に際しすべての外国人から指紋と顔写真をとるというのは、異常なことである。アメリカがそのようなことをやっているのは、アメリカは戦争中だからである。アメリカは“国際的テロ集団との戦争”をしている国なのである。いうならば戦時下の国なのである。国際的テロ集団との戦争という軍事概念が可能なのかと私はこれまで何度も指摘してきた。しかし、アメリカはいや正確にはブッシュ大統領は、大真面目にそう考えているのだ。敵である国際的テロ集団を見抜き自国に入国させないための手段は、有効であるかどうかは別にして、そのような手段しかないのであろう。そんなバカらしい施策を模倣する国は、アメリカの属国と思われても仕方ないと思う。

わが国がアメリカとの友好関係をいかに築こうと他国に非難されることはない。アメリカとの友好関係を大切にすることに、私は異論はない。しかし、友好関係はあくまでも“友好関係”でなければならない。自国の利益を損ない、自国の基本的ポリシーを放擲してまで行うものではない。また真の友好国は、相手国にそのような友好関係を強要してはならない。これは人間関係でも同じことである。外交関係といっても特別のものではないだろう

こういう普通の感覚・考え方で、インド洋における給油給水活動の是非を考えればよいのである。すべての外国人に指紋と顔写真を強制することの是非を考えればよいのである。少なくとも多くの国々は、自公“合体”政権が実際に行った行動あるいはこれから行おうとしている行動をあまりにも対米従属的と捉えるであろう。なぜ日本がそれ程までにアメリカに対して従属的でなければならないのか、奇異に思うであろう。多くの国民もそのように考え始めているのではないだろうか。それが普通の感覚・考え方である

しかし、自公“合体”政権は新テロ特措法案に固執している。これに積極的に賛成する者など、右翼反動論者くらいのものである。彼らは、新テロ特措法案を成立させなければ大変なことになる、と絶叫している。馬鹿げたことである。アフガン戦争もイラク戦争も、肝心のアメリカの中でさえその正当性に多くの人々が疑問をもっているのである。アフガン戦争やイラク戦争は、9.11同時多発テロ直後の異常な雰囲気のなかでネオコンと呼ばれる人々が始めた“異常な戦争”なのである。冷静になれば、アメリカはアフガニスタンやイラクから撤退する。

自公“合体”政権がいくら固執しても、そもそも本来ならばインド洋における給油給水活動はやめなければならないのである。それが今年の参議院選挙において国民の示した意思なのである。自公“合体”政権にはきわめて都合の悪いことに、たまたま衆議院で3分の2を超える議席をもっている。憲法59条のいわゆる3分の2条項を使えば、新テロ特措法案を成立させることができる。だったらやりなさいとアメリカにいわれたのか、自分たちが勝手に忠義立てしているか知らないが、そういう風に考えているのである。

憲法の3分の2条項がどのようなことを想定して設けられたか私はあまり勉強したことがない。これまで1回だけ3分の2条項が使われたことがあると聞いているが、どういうケースなのか私は知らない。私が国会に籍をおいたときに、3分の2条項を発動するという局面は実際問題としてなかったし、そのような議席を自民党はもってもいなかった。3分の2を超える議席というのは、普通は与党だけで持てるものではない。そもそも自公“合体”政権が3分の2を超える化け物みたいな議席を持っていることが異常なのである。それは小泉首相が詐術を用いて2年前に詐取した議席に過ぎないのである。

いわゆる3分の2条項の憲法解釈は、勉強した上でいずれ私の見解を述べたいと思っている。私には、今回の新テロ特措法案のように国論が分かれている法案に発動することが憲法解釈として正しいとは、どうしても思えないのである。参議院という国会の機関の意思を否定する“非常”な行為なのであるから。それは国家国民のために真にやむを得ない特別の理由がある場合にしか許されない、と私は考える。少なくともインド洋における給油・給水活動を行うために発動すべき条項ではない。今日の日曜定番の政治番組で新テロ特措法案や再議決のことが話題になると思うが、こういう視点から各論者の見解を評価してもらいたい。

それでは、また明日。

  • 07年11月25日 04時18分AM 掲載
  • 分類: 3.国際政治・外交

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