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“世論”を誘導する世論調査!?

07年09月28日

No.564

各報道機関が一斉に“緊急”世論調査を行い、その結果を報道している。『読売新聞』は、福田内閣を支持する者57.5%支持しない者27.3%だったと伝えている。『朝日新聞』は、福田内閣を支持する者53%支持しない者27%だったと伝えている。この永田町徒然草の常連さんは「ほんとぉ!?」と感じたであろう。ご祝儀相場だから仕方ないかと思った人も多いのではないか。実はそうではないのである

各報道機関が行ったようなやり方で調査をすれば、福田内閣の支持率が高く出るのは少しでも世論調査というものを知っているならば当然なのである。そのことを知っていて、かなりの費用(まぁ、新聞社にとってはハシタ金であろうが…笑)をかけてこれを行い、その結果をさも重大そうに報道しているのである。これはかなり悪質な世論誘導である

まず調査の方法に大きな問題がある。いずれも電話による調査である。私は電話による世論調査がいい加減だとは思っていない。電話による世論調査の手法は、ほとんど確立されている。正確さは面接による調査とほとんど変わらない。しかし、問題はその実施時間帯である。『読売新聞』は「9月25日午後8時から26日実施」としている。『朝日新聞』は「25日夜の閣僚名簿発表後から26日夜にかけて」実施したとしている。『読売新聞』に聞きたい。9月25日午後8時から25日の午後何時まで実施したのか。まさか夜11時まで電話かけた訳ではないだろう!

両紙に聞きたい。9月26日の午後何時まで電話をかけて調査を実施したのか。世論調査の開始時間と終了時間は大切である。また実際に調査をしていた時間帯も“電話による世論調査”の場合は重要である。選挙事務所などでは、電話作戦は普通午後8時半ころには止める。遅くかけると反発を受けるからである。新聞社なども同様な配慮をするであろう。そうだとしたら、25日は遅くても午後8時半ころまで、翌日もどんなに遅くても同じ時間までであろう。世論調査に詳しい知識をもっていない人でも、この時間帯に電話に出られる人々のおおよその類型が想像できるであろう。またどのような類型の人たちが電話そのものに出られないことも想像できるであろう。

調査方法について、『読売新聞』は「全国の有権者を対象にコンピューターで無作為に作成した番号に電話をかけるRDD方式。有権者在住世帯判明数1557件、有効回答926人、回答率60%」としている。『朝日新聞』は「全国の有権者を対象にコンピューターで無作為に電話番号を作る“朝日RDC”方式で調査した。対象者の選び方は無作為3段抽出法。有効回答は908人、回答率は55%。」としている。私もこの記述がいったい何を意味しているのか分からない。いずれの調査も回答率が55~60%であった。その回答率の程度が問題なのではない。どのような類型(年齢・職業・性別など)の人々の回答が得られたのかということが問題なのである。

世論調査では、回答をもらった対象者(サンプルという)の構成が実社会の構成を反映していなければ、実社会の世論を反映したものとはいえない。こんなことはあまり気にしなくても普通の日時に真面目に調査を実施すれば、結果として得られるのである。しかし、平日の午後8時~翌日の午後8時までの時間帯(電話をかけない時間は当然ある)で調査を実施すれば、どのような類型の人々の回答が得にくいことなど世論調査の専門家でなくとも推測できるであろう。だから、ご祝儀相場などでなく、福田内閣の支持率は当然のことながら高くなるのである。こんなことは常識である。

もうひとつ、この世論調査には問題がある。それは情報量の問題である。総裁選が始って以来、自民党や福田首相にとっての情報は溢れていた。これを批判する情報は皆無に過ぎなかった。祭りを煽るだけ煽っておいて、祭りの直後に「この祭りはどうでしたか?」と訊けば、余程のへそ曲がりでない限り、「ああ、良かったよ」と答えるであろう。今回の報道各社の“世論”調査は、このようなものである。このように世論調査までいちいち批判しなければならないのであるから、大変である。わが国の有権者は、よほど努力しないと賢明な有権者になることはできない状況下におかれている。

しかし、こんなテクニックで国民を騙しても、いずれカラクリは崩れる。おかしいものを見逃すほど、わが国の有権者は愚かではない。福田内閣の支持率は、必ず正しい世論調査を行えば、もっと低いはずである。またこの間に福田内閣の首相や大臣の不祥事が発覚し、その本性も明らかになる。まやかしの底上げの内閣支持率などに驚くことなく、戦わなければならない。私は、福田内閣は史上最低の内閣のひとつである、と思っている。

それでは、また明日。


  • 07年09月28日 04時55分AM 掲載
  • 分類: 2.国内政治

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