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少なくとも昔の自民党は !?

12年07月10日

No.1516

自民党や公明党は、野田首相に対して解散総選挙をすべきと盛んに迫っている。しかし、どちらも消費増税法案を参議院で可決してからの話である。野田首相も大幅な増税であるから、いずれは、解散総選挙をして国民の信を問わなければならないという。こちらの方は、自民党や公明党よりも、もっと先を考えているようだ。早晩総選挙をしなければならないというのに、なぜ、どの党も、消費増税の是非を総選挙で問おうと言わないのだろうか。

民主党も自民党も、公明党も国民新党も、たちあがれ日本なども、消費税10%を総選挙の争点にしたくないのだ。総選挙の争点にしたら負ける、と考えているのだろう。国民のために消費増税をするといいながら、選挙の争点にしたら国民からNoといわれると思っている。彼らは、国民のためと言いながら、国民から支持される自信がないのである。要するに、国民を信頼していないのだ

消費税を導入したのは、かつての自民党であった。自民党は、消費税を導入することを、総選挙の際に堂々と主張した。3%の消費税を創設したのは、竹下登首相の時であったが、その時の基礎は、昭和61年の衆参ダブル選挙であった。時の総理は、中曽根康弘首相であった。中曽根首相は“縦横斜め十文字・投網のような消費税”を導入しないといったが、消費税そのものを決して否定しなかった。自民党史上最大の議席を得たために、中曽根首相は調子に乗って消費税を導入しようとしたが、選挙の度に手痛い敗北を喫した。

平成2年の総選挙は、消費税3%の是非を実質的に国民に問う選挙であった。社会党は大躍進したが、自民党は、辛うじて過半数を確保し、消費税3%は国民の信を得たことになり、定着していった。現在の消費税5%の是非を実質的に国民に問う総選挙は、平成8年の総選挙であった。その選挙で私は、自民党の総務局長を務めていたので、その時の経緯(いきさつ)を良く憶えている。

たぶん、細川首相が唐突に打ち出した7%の国民福祉税がらみの後処理の時、細川内閣の連立与党の中で、今後の消費税をどうするかが決まったのである。そして、消費税法の付則か何かで、平成7年に閣議決定すると書かれていた、と記憶している。その後、自社さ政権が誕生し、村山富市氏が首相に就任した。村山首相は、この取り決めに社会党が参加していたことに責任を感じ、平成10年4月から消費税率を5%にすると閣議決定したのである。この閣議決定には、当然のことながら自民党もさきがけも参加していた。

この消費税5%の是非が実質的に問われたのが、平成8年の総選挙であった。新進党は、消費税凍結=すなわち3%と公約に掲げた。共産党は、消費税廃止を公約に掲げた。自民党内でも、消費税凍結の声が強く上がった。自民党組織広報本部長の亀井静香氏などは、その筆頭だった。当時、私は亀井氏と仲が良かったが、これに同調しなかった。その最大の理由は、消費税反対で大躍進した社会党が、消費税5%と主張していたからである。

村山富市氏が首相になるのを承諾しなければ、自社さきがけ政権は誕生しなかった。その社会党が消費税5%と主張している以上、自民党は、口が腐っても消費税凍結などと言うべきでないと、私は思った。橋本首相も加藤幹事長も、同じ考えであった。私は、世論調査を実施した。結果は「自民党が消費税凍結といっても消費税5%だとしても、選挙の結果はほとんど変わらない」というものであった。この結果を亀井氏に示し、自民党は消費税5%と公約に掲げた。

平成8年の総選挙では、自民党は過半数に3議席届かなかったが、消費税5%を主張した社会党とさきがけを合わせれば、過半数を超えた。平成10年4月から、消費税率は5%となった。平成10年の参議院選挙で自民党は歴史的敗北を喫し、橋本首相と加藤幹事長はその責任をとって辞任したが、この時の争点は、必ずしも消費税5%の是非ではなかった。だから、消費税5%はそのまま維持されたのである。

このように、消費税を導入した自民党は、それぞれの総選挙において、堂々と消費税問題を公約に掲げ戦ってきたのである。そして、国民の信任を得て、それぞれの消費税率を定めたのである。私がいまの自民党に対して「消費税を10%にしたいのであれば、堂々と選挙で公約として掲げ、国民の信任を得た上で実施せよ」と主張するのは、このような歴史に鑑みてのことである。自民党は、前回の総選挙で消費税10%と公約に掲げたが、大惨敗を喫したのである。要するに、自民党も公明党も消費税10%について、国民の信任を得ていないのである。

今回の3党合意による消費税10%は、国民の信任を得てない3党の、卑劣で姑息な談合に過ぎない。だから、ドサクサに紛れて自民党が消費税を10%にしたとしても、財務省からは評価されるかもしれないが、国民からは、決して評価されないであろう。民主党が次の総選挙で壊滅的な敗北を喫するのは疑いないが、だからといって、自民党が勝つことも多分、なかろう。それは、今回の消費税10%アップの手法が卑劣で姑息で卑怯だからである。王道を行く党の為すべきことでは、ない。

国民を信頼する者は、国民を騙すようなことを、決して行わない。国民を騙す党など、国民は信頼もしないし、決して支持もしない。国民が信任しない税金で行われる施策など、国民はこれを支持しない。為政者は国民を信じ、国民を信頼して、政治を行わなければならないのだ。かつての自民党は、少なくとも、これを守ってきた。こんな単純なことが、いまの自民党には分からないのだろうか。他は、語るに値しないが…。

それでは、また。

  • 12年07月10日 04時29分AM 掲載
  • 分類: 2.国内政治

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