ヘッダバイパス[j]ump
liberal-shirakawa.net 白川勝彦 Webサイト (HOMEへ)
白川勝彦へメールを送る
永田町徒然草を閲覧しています
自薦論文を閲覧します
白川文庫を閲覧します
フォトエッセイ即写一言を閲覧します
永田町徒然草
自薦論文
白川文庫
フォトエッセイ 即写一言
プロフィル
リンク

 

友へ

11年05月22日

No.1487

あまり更新もされないこのWebサイトに、多くの方がアクセスしてくださって、恐縮している。書くべきことが無い訳でもないし、その時間がまったく無い訳でもない。しかし、正直なところ、あまり筆が進まないのだ。何故なのだろうか。その理由は、ひとつではない。

わが国とわが国民は、いま、重大な危機に直面している。それは、確かである。しかし、それは、「得体の知れないものが錯綜している危機」のような気がする。
まず、危機の実態であるが、福島第一原子力発電所の事故が、事態を判りにくくしている。東日本大震災と一括りに報道されているが、大震災がもたらした被害を大雑把に“仕分け”すると、大地震に起因する被害・大津波に起因する被害、および福島第一原子力発電所の事故に起因する被害なのである。

大地震が齎(もたら)した被害に対して、私たちは阪神淡路大震災や中越地震などの経験があるので、どのような復旧・復興をすれば良いのか概(おおむ)ね見当がつく。大津波が齎した被害は、甚大である。多くの国民が、大津波の恐ろしさを知ったのは、初めてなのではないだろうか。地震の被害の復旧・復興とかなり勝手が異なることは容易に想像できるが、そこに住む人々と専門家の知恵をもってすれば不可能なことではないと、多くの国民は信じている。

福島第一原子力発電所の事故は、大地震と大津波に起因することは、誰も否定しない。しかし、大地震も大津波も想定外のことではないと、多くの人々は思っている。原子力発電所が一度(ひとたび)事故を起こすと、それは大地震や大津波と同じ程の大きな被害を齎すのだ。福島第一原子力発電所は、国と東電が造ったモノである。だから、福島第一原子力発電所に起因する被害は、大地震や大津波と同じように論ずることができない。

福島第一原子力発電所の事故に起因する被害は、日々いまなお起こっている。その被害の発生は、現在進行中である。国と東電の最大限の義務は、まず原子力発電事故の被害の発生を止めることである。その行程表なるものが発表されたが、そもそも、何をもって終着点とするのかさえ必ずしもハッキリとしていない。
もうひとつは、この被害には賠償という問題が生ずることである。それも、現在進行形で被害が発生しているのだから、その都度その都度の賠償が必要である。例えば、避難している方々に対しては、仮払金だけではなく月々の避難費用を支払う必要があるだろう。

福島第一原子力発電所の事故を果たして収束できるのかどうかさえ、専門家はいろいろなことをいうが、私には確かなことは分からない。チェルノブエリ原発事故のように、半径30キロが長期間あるいは永遠に居住できないこともあり得るという専門家もいる。その場合の賠償額は、天文学的数値になる。そうでない場合でも、福島第一原子力発電所の事故の賠償額は莫大な額となろう。そういう状況の中で、賠償スキームだけが発表されたのには、不可解さを禁じ得ない。

また、菅首相は浜岡原子力発電所の運転中止を要請(!?)した。多くの国民はこれを支持し、識者も英断と言っている。新エネルギー政策を白紙から見直し、議論するという。そしてフランスで開かれるG8サミットでは、自然エネルギーを大幅に増やすわが国の意気込み(敢えてそう言っておこう)を発表するという。

浜岡原発の運転中止要請について言うならば、全国で稼働中の原子力発電所の定期点検後の運転再開を、いったい誰に同意させるというのか。法律上は原子力発電所がある県の知事の判断に委ねられるのだが、それを委ねられた各県の知事は大変である。よほど度胸のある知事でなければ、定期点検を終えた原子力発電所運転には同意できまい。各県で住民投票が起こるのではないか。その場合、原子力発電推進派はたぶん敗れるであろう。わが国で稼働できる原発は、一基もなくなるのではないか。私は、それでも構わないと思っている。ただその場合、国民にも覚悟が必要である。

自然エネルギー、とりわけ太陽光発電を推進することには、誰も異存はないだろう。しかし、果たしてわが国が必要とする電力の何%をまかなうことができるのか、定かではない。その他の自然エネルギー・再生エネルギーも同じだ。仮にそれが可能だとしても、それらが完成するまで電力をどうするのか ─ その行程表も、明確に示さなければならない。

だいぶ長くなったので、この続きは後日に譲ることとしよう。いま私たちが直面している問題は、不確定なことが多い。その中でモノをいうのは、難しい … いや、厄介なのだ。機微に触れることとも多いので、あまり書きたくないというのが、現在の率直な私の心境である。しかし、それでは済まされないようだ。このままでは、わが国はおかしくなってしまう。不確実な中で松明を掲げ行く先を示すのが、政治家の仕事である。現役の政治家たちに言いたいことは、山ほどある。政治家たちよ、己の役割を自覚してほしい。

それでは、また。

  • 11年05月22日 09時12分PM 掲載
  • 分類: 1.徒然

白川勝彦OFFICE   白川勝彦へメール送信 ]

Valid XHTML 1.0 TransitionalValid CSS!Level A conformance icon, W3C-WAI Web Content Accessibility Guidelines 1.0

Copyright©K.Shirakawa Office 1999-2016 - Web pages Created by DIGIHOUND L.L.C. All Rights Reserved ©1999-2016
Powered by Nucleus CMS. Page designed by James Koster.Ported to Nucleus by Joel Pan. Re-design and adjusted by DIGIHOUND L.L.C. © 2006-2016