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 先見経済   9月1日号

シリーズ・この国の未来

白川勝彦 元衆議院議員、元自治大臣 白川勝彦法律事務所弁護士

日本全体が「ない袖は振れない」、つまり、ある中でやりくりするという方向へ進むべきでしょう

今回のゲストは弁護士の白川勝彦氏。ご存じのように、氏は元衆議院議員で自治大臣、国家公安委員長などを務めた人物だ。代議士引退後は弁護士専業となり、多重債務者問題を一つの柱として取り組んでいる。借金苦に喘ぐ人々が増え続ける今、この問題のポイントはどこにあるのか。また、解決策は何なのか。田中氏が白川氏の考えを聞く。

多重債務者問題の根底には国家の責任がある

田中   多重債務者が増加しています。先生は、これを重大な問題としてとり上げられていますね。

白川   多重債務者は今後、まだまだ増えると思います。

田中   政府も「多重債務対策本部」を設置し、少しずつ効果が出はじめているようです。この問題は、消費者金融が密接に関わっていますね。

白川   つい1年ほど前まで、ほとんどのサラ金は25〜28%の金利をとっていました。多くの債務者がサラ金から借りているのは、10万円超100万円未満といった金額です。その場合の利息制限法の上限は18%。グレーゾーン金利が廃止されることから現在、大手サラ金はこの金利で貸し付けています。ただ問題は、債務者がどうも18%の金利を<安い>と感じていることです。多重債務者は、金利というものを軽く考えているところがあります。

田中   白川先生が弁護士として、この問題に取り組むのはいいことだと思います。政治家としての経験が役に立つのではないでしょうか。

白川   私は昭和54年に衆議院に初当選してから10年間大蔵委員会に所属し、そこで山中貞則、村山達雄といった大御所の下で徹底的に仕込まれました。余談ですが、そのとき<青年将校>みたいに大蔵族のドンになりたいと思っていたのが小泉純一郎です。さて金融については、そのころから問題意識を持っていました。感じていたのは、日本の金融機関は世界レベルでいう「金融」の業務をしているのかということです。例えば、ある人にお金を貸すとする。金利とはリスクがあるから高くとるもので、逆にリスクがなければ低くてもいい。ところが、日本の金融機関は不動産担保をとるは、個人保証、さらには親族の連帯保証もとる。しかも不動産担保では実際の7割程度しか評価しない。そのうえで、そこまでしたら貸し倒れるはずはないのに毎年、貸し倒れ準備金を引き上げて税制上優遇してくれという。自民党の税制調査会では、そんなことが年中行事のようでしたね。当然、私は反対。大蔵省の知人からは「反対はやめてくれ」と言われましたが「これは信念だから」と考えを曲げなかった。小泉さんは当然のことながら、賛成していましたけどね(笑)。大体、日本の金融機関は法人に対する金融すらできていないのに、個人への金融ができるわけがない。

田中   個人に対する金融がないから、消費者金融が生まれた、とも言えます。

白川   当時から、外国では銀行が個人向けローンを行っていました。一方で、日本の銀行は個人を相手にしなかった。そこで伝統的な高利貸しとは別に、サラ金が誕生したんです。

田中   国民生活が豊かになり、人々に購買意欲が出てきた。しかし、給料だけでは足りない。こうしたことから、生まれたんでしょうね。だが、そのサラ金で失敗する人が増えてしまった。

白川   利息制限法に違反して28%を超える利息をとるサラ金もありましたしね。実は、そのころの私は、サラ金に行く人を<特殊な人>だと思っていたんですよ。だって、考えてみてください。法人だって、そんな利息を払っていたら会社がおかしくなってしまう。個人だって同じでしょう。そういう意味で大きな問題意識を持っていなかった。ところが、10年ぐらい前から多重債務者が増え、社会問題となってきた。それに伴い、弁護士の仕事も増え、利息制限法をもとに過払い請求を取り戻すといった仕事も増えました。

田中   しかし、いくら過払いを取り戻しても解決にはならない。

白川   根本は、長年にわたって日本の銀行行政や金融機関が持ち続けてきた問題にあります。つまり、我が国の政治に責任がある。例えば、最近では派遣社員が増えたことから生活苦の人が増え、多重債務者問題に拍車をかけている。だから、国会議員を辞めて弁護士に専従するとき、この問題を私の一つの柱にしようと考えたのです。

多重債務者を生み出す元凶は銀行だ

白川   私は30歳で衆議院議員に立候補したのですが、政治資金は弁護士活動で稼ぐしかありませんでした。そのころ、新潟県のある都市の借金問題を多数取り扱う機会があったんです。商人が町の高利貸しから金を借りて返せなくなる、というパターン。そんなことから、その地方のほとんどの高利貸しを相手にしましたが、彼らからは「勘弁してくれ」と(笑)。今でも忘れられないのが、「先生、我々は高利貸しと呼ばれ、世間からは蛇蝎のように嫌われているけども、銀行から金が借りられるわけではない。自分もそんなに金持ちではないから、高い金利で金を調達してきて、それを貸している。だからコストが高く、そんなに儲かってるわけではないんですよ」と言われたこと。確かに当時、彼らの資金調達コストは高かった。ところが、現在はほとんどの消費者金融が銀行の系列下に入り、その問題はなくなりました。

田中   銀行自体が金を貸し、系列下の消費者金融を含めたノンバンクにも金を貸す。そして、その金利がそれぞれ違う。一人が二重人格、三重人格で演じているようなものです。

白川   最近では、ほとんどの大手銀行が「カードローン」などと称した個人向け金融をはじめました。しかし、その実態は疑問を呈さざるを得ない。各銀行は貸し付ける顧客の信用情報を傘下のサラ金業者からとっており、カードローンではリース会社や信販会社の保証をつけたうえで貸し出している。これで銀行が本当に個人向け貸し付けをしていると言えるのか。驚きました。

田中   確かに驚くべきことですが、それが現実なんですね。

白川   ほかにも問題があります。例えば、銀行からカードローンで借りて、返済が半年間滞ったとします。すると、すぐに傘下のサラ金に債権譲渡してしまうんです。だから、借りた人は銀行から借りたつもりでも、気がついたら有名な消費者金融から借りたことになっている。銀行は債権譲渡の通知を出すだけ。これは、かなりひどい話ですよ。ところで「おまとめローン」という言葉を聞いたことがありませんか。

田中   最近、よく聞く言葉ですね。

白川   テレビCMで「完済人になろう」などとやっている、あれです。これは銀行などから金を借り、数カ所にわたる債権者への返済を銀行等に一本化することです。なぜ、こうしたもののニーズがあるのか。5社、6社と借りていると、毎月各社のATMに行って払わなければいけない。特に地方の場合は、サラ金のATMに出入りしているのを見られただけで噂になってしまうから、数が増えればリスクが増える。だから1本で済めばいい。私のところに来られた依頼者の話を聞くと、こんな理由から利用するそうです。ただ、おまとめローンで返済すると、すべての業者に返したことになります。だから、サラ金側からすれば優良顧客候補となり「またいつでも借りてください」と。銀行から金を借りて、サラ金の分をきれいにできるわけです。ですが、債務者の中には困ったら借りるという癖がついている人も多いから、またサラ金から金を借りてしまう。しかし一方で、銀行から借りた分がなくなったわけではない。それで、気がついたら返せなくなってしまう。こうした問題が起こっているんです。サラ金業者も銀行の系列ですから、言い換えれば、自分たちで多重債務者をつくっておいて、そこにまたおまとめローンを貸して債務を増やす。正直、おまとめローンなるものに怒りすら感じます。

田中   ところで、弁護士の介入があるとブラックリストに載り、5〜6年間はサラ金から借りられなくなるそうですね。そうなれば、これまでの<借り癖>を強制的にでも直すきっかけになるかもしれない。生活自体を変えなくては何の解決にもなりませんからね。

白川   基本は、貸してくれるから借りる。こういう話なんですよ。私たちの学生時代は、金が必要になったら親に泣きつくか、ごく親しい先輩や友人に借りるか、あとは我慢するかでした。

田中   昔は我慢するしかなかったですからね。

白川   ほかには、せいぜい質屋に行くぐらい。しかし、それでも質入れする物の範囲でしか貸してもらえない。でも最近は変わりました。サラ金に行けば金を貸してもらえるのですからね。

新しいことをするために過去を断ち切る

白川   経営者の中には、「うちの会社は立派な会社だし、給料もそれなりに払っている。だから、まさかうちの社員に限ってサラ金で借金する人間などいないだろう」と思う人がいるかもしれません。でも私に言わせれば、そうした会社の社員ほどサラ金にとっては上客です。彼らはプロだから、どんな人に貸したら大丈夫か分かっている。

田中   経営者は、できるだけ社員のそうした側面を知りたいところですね。

白川   しかし現実的には難しい。依頼人で、夫にばれないように処理してくれという主婦もいるぐらいです。夫婦でもそんな具合ですし、親兄弟でもサラ金に借りているとは言いにくい。真面目であればあるほど、その傾向は強い。それだけに社長が「サラ金に手を出すな。何かあったら相談してくれ」と言ったところで、簡単には話せない。

田中   先生みたいな方を会社に招き、社員に実態を話してもらう。そのうえで、該当する社員に密かに相談させる。そうしたことでもやらないと、世間に<誘惑>が多すぎて危ないかもしれません。欲しい物はたくさんあるが、金が足りない。今の社会は、個人だけでは守りきれないものがある。会社の金の使い込みも含め、企業として社員を守る方策を考えたほうがいい時代にきたのかもしれません。

白川   私は日本全体が「ない袖は振れない」、つまり、ある中で頑張るという方向へ進むべきだと思います。ところが、今は「なかったら借りればいい」となっている。だから、国だって国債を発行している(笑)。

田中   発想は同じですね(笑)。

白川   税収のみで、やれるだけのことをやる。できないことはできないと、素直に言う。それができていれば、国家の負債も800兆円などということにはならなかったはずです。

田中   政治家が選挙の際に何かを公約する。すると、役人も政治家の顔を立てないといけないからと頑張る。結果、サラ金で苦しむ個人と同様に、日本も苦しんでいます。

白川   政治がそうしているから、国民が「自分たちもやっていい」と感じてしまうのではないでしょうか。

田中   ここ20年ぐらいの自由化の流れで、日本を国際基準に合わせるとして、本来の我が国の価値観と違うことを推し進めてきた。過去、銀行は我々にとって安心な金融機関だったし、金を預けてもきちんと利息がついた。その一方で、個人には貸してくれなかったから、給料の範囲でやりくりしていて、ある意味、皆が健全だった。ところが、「自己責任」という概念が入ってきたことで、一般の人に対して誘惑が増えた。銀行やノンバンクが金を貸すようになり、多重債務で苦しむのは「自己責任」とした。さらには、雇用も派遣社員の増加で、収入が不安定な人が増えた。そうなると過去とは違い、我慢すればいい、とはならない。我慢して生活できるだけの給料を確保できない人たちは、金を借りなくては生きていけない。だが、もともと収入が少ないわけだから、すぐに地獄に陥る。

白川   人によっては500万円の借金で悔いている人もいます。その方の年収は600万円、借金と年収がほぼ一緒の額でした。新しいことをするには、過去を断ち切らなければなりません。例えば、私は自民党を離党し、<反自公>で活動しています。しかし、20年以上いた自民党を出ることは、政治的にも、社会的にも、財産的にも、いろいろなものを失うことです。それでも自らの信念に従って、ダメなものはダメだと言っている。そうした経験から、私は「たかが年収の1年分ぐらいの借金でオタオタするな」と、その人に言います。自分を責めるのではなく、悩みは私が預かるから、その分、どう稼ぎを増やすか、仕事に打ち込むかを考えなさいと。つくってしまった借金は分割して返せばいい。

田中   でも先生のように厳しく励ます弁護士だけでなく、先程の「おまとめ」みたいなことをする弁護士もいる。

白川   かつては過払い金利を取り戻すことで、債務者から感謝されたケースが多かった。でもグレーゾーン金利が廃止され、利息制限法に従うようになり、過払い金利の払い戻しといったことは減りつつあります。だけども多重債務者は増えている。多重債務から手を切るには、どこを変えなければならないのか。弁護士も考えるべきです。

田中   まるで教育者ですね。<辛抱哲学>を教えなければならない、ということですからね。


白川勝彦(しらかわ・かつひこ)1945年新潟県生まれ。68年東京大学法学部在学中に司法試験合格。69年同大学卒業。72年司法修習終了・弁護士登録。75年白川勝彦政治法律事務所を開設。79年衆議院議員に初当選(新潟県6区)、以後6回当選。この間、国土・郵政政務次官、衆議院商工常任委員長、自民党総務局長などを歴任。96年には自治大臣および国家公安委員長に就任。 2008年東京・新橋に白川勝彦法律事務所を新しくオープン。著書に「いまリベラルが問う」「自自公を批判する」など。

田中克人(たなか・かつんど)昭和18年生まれ。明治大学法学部法律学科卒業後、(社)国民政治研究会事務局に入局。事務局長、常務理事、専務理事、理事長を歴任。その後、(社)日本フィランソロピー協会を発足させ理事長就任。また、大学でマスコミ論、社会貢献論を講義する傍ら、平成元年にはテレビ朝日「CNNモーニング」のキャスターも務める。現在は、(社)福祉社会研究所理事長、(社)日本フィランソロピー協会副会長、国民政治研究会理事長、(財)潰野生命科学研究財団理事長等、多数の公職を兼任。近著に「心の駅伝〜安倍晋三君への手紙jがあり、最新刊は「殺人犯を裁けますか?〜裁判員制の問題点』がある。

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