ヘッダバイパス[j]ump
liberal-shirakawa.net 白川勝彦 Webサイト (HOMEへ)
白川勝彦へメールを送る
永田町徒然草を閲覧しています
自薦論文を閲覧します
白川文庫を閲覧します
フォトエッセイ即写一言を閲覧します
永田町徒然草
自薦論文
白川文庫
フォトエッセイ 即写一言
プロフィル
リンク

 

そのうち飯をご存知か?

06年12月19日

No.281

旧信越線横川駅の「峠の釜飯」は有名だ。秋になると何といっても松茸ご飯だ。鯛飯も美味しい。季節季節の旬なものをいれた炊き込みご飯はいろいろある。この季節の炊き込みご飯は何が美味しいのだろうか。冬のこの季節は、ご飯ではないが鍋の後の雑炊が美味しい。ふぐ鍋の後の雑炊は格別だ。私などは、この雑炊を食べるために高いふぐ鍋を注文するくらいだ。永田町には「そのうち飯」というものがある。

私が国会に初当選したのは、34歳だった。同期当選で2番目に若かった。いちばん若かったのは船田元君で25歳と数ヶ月だった。選挙がもう少し早ければ被選挙権がなかったというつわものだ。いまは民主党などずいぶん若い人が多くなって、30代の国会議員はそんなに珍しくなくなってきたが、昭和40年代や50年代は30歳代の国会議員はまだまだ少なかった。その性だろうか、私たち若い国会議員は先輩議員からよく声をかけられた。また先輩議員からいろんな話を聞くのはけっこう面白かった。昔は今より国会議員になる経緯や経歴にバライティがあった。二世議員の比率も現在ほどではなかったし、松下政経塾出身などというものはなかった。こうした先輩議員の最後は「白川君。そのうち飯でも食おうや」で締めくくられた。

私たち若い国会議員だけでなく、誰にでも「そのうち飯でも食おうや」という人が永田町ではけっこう多い。国会議員の「そのうち飯でも食おうや」というのは、「see you again」「さよなら」みたいのものだ。また先輩議員が後輩に対して「そのうち飯でも食おうや」という場合、奢(おご)るよということ意味する。これを「そのうち飯」という。国会議員のそのうち飯は、ほとんど料亭で食する。昭和50年代でも一人3万円はしたと思う。3、4人と食えば、そのうち飯も10数万円ということになる。芸者でも侍らせれば、30万円を超えることになろう。でもけっこうそのうち飯を奢ってくれる先輩もいた。当時は派閥活動が活発で他派閥の議員とコネを作っておき、いざ総裁選となるとこうしたコネを頼りにボスのために1票を獲得しようとしたのだ。

しかし、いろんな人に「そのうち飯でも食おうや」といいながら、実際にはほとんどこれを奢ることがない先輩がいた。「あの先生のそのうち飯を食べた者は誰もいないのだ」という話をある同僚からから聞いた。要するにそのうち飯を乱発しながら実際に奢ることをしないある先輩議員を揶揄した言葉なのだ。当時全盛を誇っていた田中派の先輩議員は、他派閥の私たち若い議員にそのうち飯の声をかけることはほとんどなかった。田中派同士では私たちが行けないような超高級料亭で飲んだり騒いだり麻雀をしていたようだが…。田中派の場合、他派閥工作も必要なかったし、この頃から一種独特の閉鎖的集団になり始めていたのだろう。たかが飯、されど飯である。定食屋やそば屋で昼ごはんを食べるのとは違うのだ。ちょっとあらたまった食事をするということは、最低限1時間半から2時間くらいお互いに話をするということなのだ。

最近かつての友人たちと少しずつ電話などするようになった。そのうち飯でも食いませんかといういう人はけっこう多い。女性でも「そのうちお食事でも」という人もけっこういる。私はこういう時、できるだけ実際に日にちを決めるようにしている。そうしないとだいたいそのうち飯になってしまうからだ。最近はかつての友人たちと食事をする機会が多くなってきた。気のおけない友人たちと酒を呑み、談笑することは本当に楽しい。あまり酒が呑めない私だが、雰囲気に酔ってつい呑んでしまうこともある。「さらに尽くせ一杯の酒」だ。友人たちと呑む時も、たまに若い人と呑む時も、原則として頭割りにすることにしている。そうでないと奢る人も奢られる人も負担になり、そのうち飯が結果として多くなるからである。ご同輩、「そのうち飯」を大盤振る舞いすることだけは慎んだがいい。

それでは、また。

  • 06年12月19日 10時09分AM 掲載
  • 分類: 1.徒然

白川勝彦OFFICE   白川勝彦へメール送信 ]

Valid XHTML 1.0 TransitionalValid CSS!Level A conformance icon, W3C-WAI Web Content Accessibility Guidelines 1.0

Copyright©K.Shirakawa Office 1999-2016 - Web pages Created by DIGIHOUND L.L.C. All Rights Reserved ©1999-2016
Powered by Nucleus CMS. Page designed by James Koster.Ported to Nucleus by Joel Pan. Re-design and adjusted by DIGIHOUND L.L.C. © 2006-2016