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万事がこの調子

13年12月21日

No.1627

先週の永田町徒然草のタイトルを「北朝鮮のような国になるぞ。」としたことに、私には少し躊躇(ためら)いがあった。1日くらい、タイトルを変えようかと何度も思った。しかし、1日以上経つと、変更をするのはフェアではないと、そのままにしておいた。結果としては、それで良かったと思っている。今週1週間のわが国の政治の動きを見ていると、形は違うが、その内実は北朝鮮の政治と50歩100歩だ。

金正恩という最高権力者がどのような北朝鮮を作ろうとしているのか、私たちには理解しがたいところがある。わが国の最高権力者である安倍首相がどのような日本を作ろうとしているのかも、私には理解できないところがある。安倍晋三という政治家の正体が、そもそも分からないのだ。安倍晋三を総裁に選出した自民党の多くの国会議員も、彼の正体が分からないのではないか。

安倍首相が自由主義政治家でないことは、1年間の安倍内閣の動向を見てハッキリと分かった。もちろん、安倍晋三という政治家は、社会主義者ではなかろう。そうすると、「安倍晋三という政治家は、国家主義者である」と考えるのが、いちばん自然である。そのように考えると、理解できることがいっぱいある。政労使の会合を頻繁に開き、労働者の賃金を上げろとか、賃金を上げた中小企業にはご褒美を差し上げましょうなどとの発言は、国家主義者たる本性を現わしている典型である。

昨日、安倍首相は、民放テレビに梯子で出演した。テレビ局の方にも、問題があった。安倍首相を誰と対談させるか、である。数日前に安倍首相と会食した政治評論家と対談させた局もあった。政府の経済諮問会議のメンバーと対談させた局もあった。私は、気味悪くなってしまった。こんなテレビ報道は、北朝鮮のテレビとどこが違うというのか。アメリカやフランスなどの報道番組では、決してこのようなことはやらないだろう。

永田町徒然草では、猪瀬東京都知事のことは一言も触れなかった。一年前に「猪瀬直樹」と書いた400万余の東京都民は、一体どういう気持ちでニュースを見ていただろうか。どうであれ、400万余の都民が選んだ知事なのだ。「公務員が、その職務に関し、賄賂を収受し」た場合は、収賄罪となるのだ(刑法197条)。“ある時払いの催促なし・無担保の多額に貸金”が賄賂に当たることは、確定した判例である。東京都副知事の職務権限は、広い。病院に関する事務は、当然に職務に含まれるのだ。最初からそういう視点から追及され、報道されるべきであった。マスコミや都議会議員には、もっと勉強してもらいたい。

あるテレビ局では、猪瀬報道に際し、この7月の参議院選挙に自民党公認で立候補した弁護士(結果は落選)をコメンテーターとして登場させていたが、あまりにも無神経ではないか。猪瀬知事誕生の片棒を担いだのも、マスコミであった。来年2月に行われる都知事選挙の候補者について、マスコミは盛んに報道している。万事がこの調子なのだ。こんなことを繰り返しているのだから、「北朝鮮のような国になるぞ。」は、やはり間違っていないのだ。

今日は、このくらいにしておこう。それでは、また。

  • 13年12月21日 08時22分PM 掲載
  • 分類: 1.徒然

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