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2006年11月17日

しつっこい虫

今年(2006年)7月のお盆であった。お盆の休みだということで、いつも麻雀をやっている仲間とその日はお昼をちょっと過ぎたころから卓を囲み始めた。気のおけないメンバーだったので、ワイワイガヤガヤといろんな話をしながら楽しく遊んでいた。外は雨の降るジメジメした日であった。今夏は本当に雨が多かった。こういう日は、麻雀にかぎる。

夕方を過ぎ、もう夜といってもいいころになった。小さな虫がしきりの私の顔のあたりを飛ぶのである。ふだんはそんなことのない、こぎれいな雀荘なのである。私は何度もなんどもその虫を手で払った。私は昔から虫が苦手なのである。受験勉強をしていたころ、真夏であっても窓を閉めきって勉強をしていた。もちろんクーラーなどない部屋である。確かに暑いことは暑いが、窓を開けていると、田舎であったので虫がいっぱい入ってくる。その虫が嫌だったからである。私は小さいころ蚊に刺されるとそこが化膿して脚にグジュグジュしたおでき状のものがいっぱいできた。私の地方では、これを「クサ」と呼んでいた。その痕はいまでもある。最近では滅多に見ないようだ。私の体質と栄養不足が原因なのだろう。そんなことから、蚊だけではなく夏の夜飛んでいる虫が嫌いになったのだろう。

それにしても私の顔のあたりを飛んでいる虫はしつこかった。東京のど真ん中の部屋だったしても、夏なのであるから虫が一匹くらい迷いこんできたとしても少しもおかしくはない。しかし、虫が苦手な私は気になって仕方がない。何度もなんども手で払うのだがいっこうにいなくならない。気になるものだから、雀荘のメンバーをよんで退治してもらおうとさえ思った。でも私を刺したわけもないので、それはしなかった。私は虫を追い払うべく右の顔の辺りを全部で10回以上は手で払った。本当にしつこい虫だった。

何度もなんどもこんなことをしているうちに、ちょっと変だとも思った。その虫は、私が目を動かすと現れるのだ。いや私の目の動きとともに左右に動くのだ。こうなるともう麻雀どころではない。この虫のことが気になって仕方がない。滅多に自分から麻雀をやめるなどとはいわない私だが、他のメンバーに代わってもらうことにした。私は洗面所に行って、水で目を洗った。ゴミが入ったと思ったからである。しかし、事態はいっこうに変わらなかった。近くに夜でもやっている薬局があったので、目薬を買って何度もなんども注してみた。それでも事態は変わらない。これは少しおかしいとは思ったが、不安感をもつほどではなかった。このところちょっと無茶をしていたので、一晩じっくり眠れば治るだろうと思い、その夜はそのまま家に帰ってバタンキューと寝た。


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