私の通信・インターネット政策について
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私の通信・インターネット政策について

私は国会議員として郵政省関係の政策に深く関わってきました。それだけに、通信政策、また日本初のインターネット政党を目指す代表として、ITの中心を占めるインターネットについて特別に関心をもっています。このWebサイトをご覧の方はこうした問題にご関心のある方も多いと思い、私の通信・インターネットについての考えを述べ、皆さんのご高評をたまわりたいと思っています。

[政策その1]高度情報立国をめざして

1. 通信政策の基本

通信政策を考える場合、もっとも大切なことは、ユニバーサルであることと、通信の秘密という問題です。

ユニバーサルとは、あまねく公平ということです。利用料金が安いということは、通信がユニバーサルとなるために不可欠なことです。通信はネットワーク整備がなされてこそ、はじめてその機能が果たせるものですから、本来安い料金で運営しなければならないし、それが可能なものなのです。

通信の秘密は、憲法がもっとも大切とする思想・良心・信教の自由を実質的に保障するために、必要不可欠なものであります。憲法21条が「通信の秘密は、これを侵してはならない」と規定していることを、私たちは通信政策を考えるにあたり、絶対に忘れてはなりません。わが国においては、この点に対する配意が必ずしも十分でないことを、私は憂いています。

2. ユニバーサルな高度情報通信網を早期に全国的に完成させる

IT革命の主役は、なんといってもインターネットです。インターネットを通じて、質の高い情報を安価に伝達するためにいまもっとも必要とされているのは、光ファイバー及び無線による通信網を全国的に一日も早く完成させることです。このことなくして、世界のインターネット競争にわが国が勝ち残ることはできないでしょう。

光ファイバー網を完成させることでは、これを使って、CATVをはじめとするいろいろな情報伝達が可能になります。光ファイバーほどの需要が望めない地域には、無線を使い、地域格差なく同等の高度情報通信を可能にします。農山村における情報通信は、むしろ無線のほうが、*農場から直接研究所へ作物データを“リアルタイム送信”するような使い方もあり、遥かに有意義でしょう。いずれの方法でも高度情報通信網の整備は、いまや国家戦略の一つといっていいと思います。そうであるとしたら、その費用について国家が負担することも考えられますが、その必要はないでしょう。NTTをはじめとした電気通信事業者が現にこれらを敷設・設置しているのですから、これを支援する仕組みを考えるだけでも十分です。これは、不況対策としても極めて有効であると同時に、産業構造の改革を進めることに役立ちます。

問題は、通信料金です。ネットワーク料金は、おおぜいの人が参加することによって、はじめて安くすることができるのです。そのためにも光ファイバー網の整備は、ユニバーサルに一挙に行われなければならないのです。通信料金などは、本来定額料金がいちばん合理的なのです。携帯電話の発展にみられるように、光ファイバーと無線による情報通信網の整備をユニバーサルに行うことにより、インターネットをはじめとするIT革命は急速に現実のものとなります。

3. 通信の秘密を守るために

私がこの数年いちばん関心をもっている問題が、通信記録の問題です。私たちが使っている電話の通信記録が電話会社にはすべて残っています。通信記録があるということは、第三者がこれを見ることがあり得ることです。また、裁判官の令状があれば司法当局はこれを差し押さえることもできます。通信の秘密を重大に考えるものにとっては、これは由々しきことです。

なぜ、電話会社が通信記録を取るかというと料金のトラブルを防止するためです。しかし、ただそのためにのみ自分の通信記録をすべて取られたのであれば、極めて不都合なことです。私は、請求された料金にはクレームをつけないから、通信記録を残さないでもらいたいといっても、電話会社は一切掛け合ってくれません。親切といえば親切かもしれませんが、通信の秘密ということの重要さが分っていないからだと思います。

こうすればいいのです。ある電話の通信料金の直近3ヶ月間のアベレージをとって、その3倍までならば通信料金について一切のクレームはつけない。もし、一ヶ月の途中で通信料金がそのアベレージを超えた場合には、電話会社からその旨を利用者に連絡する。その時点で、そんなに利用していないと思う利用者は、チェックのために希望するならば通信記録をとることを承諾する。このような料金システムを作ればいいのです。コンピュータを駆使すれば、この程度のことは簡単にできると思うのです。

もちろん、これは選択制です。そのために必要ならば必要な費用を払ってもいいと思います。私は、通信の秘密というのはそのくらい大切なものと考えています。通信の秘密などどうでもいいと考える人に強制するつもりはありませんが、通信の秘密を守って欲しいと考える者に、このようなサービスを考えようとしない電話会社のセンスを私は問題にしているのです。郵政省にも何度か話したことがあるのですが、私が何をいっているのか理解できない様子に、辟易としました。

私は、インターネットを利用した通信についても同じようなことは考えられると思います。専門家から、考えてもらうつもりです。そして、通信料金を定額制にした場合、そもそもその必要性がなくなることもありうるのですから、定額制の導入は真剣に考える必要があります。

4. ソフトの専門家の養成機関の創設

IT(インフォメーション・テクノロジー)の進歩は、技術者の努力によって確実に進むことを私は確信しています。わが国の現状については危機感をもっていますが、長期的には楽観しています。ITの進歩ということは、大量の情報が安価に伝達できることです。問題は、情報の質です。質の高い情報が発信できるかという問題です。

例えば、ジャーナリズムの現状について、これまでにも何度か指摘してきましたように、わが国のジャーナリズムにおける“質の高い情報を発信する力量”は大丈夫なのでしょうか。

また、画像製作の力量についても、私は危機感をもっています。わが国の映像技術について、私はかなり悲観的なのです。映画産業の衰退がその大きな原因です。まさにソフトの問題です。この問題を解決するために、NHKを中心にして民放各社や新聞社や雑誌社などが拠出して、この分野の優秀なソフトの専門家 ("戦中八策"で「ソフトの職人」といっているのはこんな思いをこめているのです) を育てるべく、レベルの高い養成機関を作る必要があると私は考えています。

ところで、コンピュータを中心とする高度情報化社会は、上記の優れた「ソフトの職人」たる専門家を支え、そのツールの機能を常に確保するための「ハイテク・ブルーカラー」を大量に必要としますが、現状、日本ではこの部分も極めて脆弱です。社会人再教育としてのソフト・ハード各面での技術者の養成は必要不可欠ですし、自ずと、失業者対策にも通じる策にもなりますから、専門家養成とともに、ハイテクブルーカラー養成機関の創設拡充も、並行して進める必要があります。


[政策その2]インターネットと選挙

インターネットと選挙については、これまでも何度か永田町徒然草に書きました。(参照永田町徒然草No160こちらをご覧ください。)そして、私の問題意識は、どう考えても「頒布」というのは、積極的に文書図画(法律家は、ブンショトガといいます)を第三者に配布する行為を指すものであり、人が積極的に見ようとしてそれなりの行為をしなければ決して見ることができない文書図画をWebサイトに掲載することは「頒布」に当たらないというものです。

この点に関する総務省の考えは、「公職選挙法の『頒布』とは、不特定又は多数人に文書図画を配布することをいい、従来より、文書図画を置き、自由に持ち帰らせるを期待するような相手方の行為を伴う方法による場合も『頒布』に当たると解する」というものです。

私にいわせれば、これは例えば選挙運動用の文書図画を作成し、駅の待合室などに置くケースをさすのであって、これをWebサイトに掲載する行為と同視・類推するのは判例の拡大解釈。「判例の解釈は正しく!!」と言いたくなります。しかも、総務省が引き合いに出した判例は持ち帰りを期待して置いたケースでもなく、事実上配布を指示しているものです。とてもWebサイトの掲載などと同視・類推できるケースではありません。そのような事例の裁判の文言だけを取り出して、鬼の首を取ったようにいうのは、もっとも悪しき判例の解釈なのです。

このような問題意識をもっていたところに、「電脳有権者政治改革ネットワーク」の宮台真司代表(東京都立大学助教授)から、インターネットと選挙について総務省の見解を正したいので紹介をしてほしいという依頼を受けたので、喜んで紹介をすると共に私も同席をして話を聞くことにしました。6月18日と25日の2回にわたって、それぞれ1時間半あまりの話し合い・交渉をしました。かなり突っ込んだ問題点の指摘をしましたが、私としては合点がいくものでもなければ、納得できるものでもありませんでした。正直いって平行線以外の何物でもありません。

総務省とのやりとりの詳細は、電脳有権者政治改革ネットワークのWebサイトに載っていますので、ご覧下さい(参照・総務省見解を質すhttp://www.toppa.net/content_b/index.htmlこちらをご覧ください。)。これを読んでもらえれば分るとおり、決してダメだとはいっていないのです。違反するおそれがあるといっているだけなのです。でも、選挙の事務を所掌する総務省がこのようにいうと、みんながやらなくなるのです。事実上の禁止なのです。一斉の自主規制になるのです。現にそうなっています。これが、日本の官僚のずる賢いところであり、陰湿なところです。

さて、この話し合い・交渉を受けて、日本で最初のインターネット政党を目指す「新党・自由と希望」として、また私としてどう対処するか。正直いって、いまのところ私の考えは揺れ動いています。しかし、7月11日までに結論を現実に出さなければなりません。こうしたギリギリの問題があることを白川サイトをご覧の皆さんからぜひ知っていただきたいのです。また、皆さんのご意見をぜひお聞かせください。自由のための戦いとは、こうしたことと根気良く戦うことなのです。


[政策その3]個人情報保護法案(コンピュータ管理法案)に反対する

そもそもこの個人情報保護法案は、改正住民基本台帳法が自自公で成立した1999年6月、当時の与党3党が「3年以内の法制化を図る」ということで合意したのがきっかけです。

で、私がそれ以前に自治相・国家公安委員長をやっていたとき(96年11月〜97年9月)に、事務方が改正住基法の試案をまとめているのですが、「既に運転免許証や社会保険などの個人情報のデータベースを国が持っているのに、さらに自治省(元・総務省)がこのような莫大なカネのかかるネットワークを作る必要があるのか。他省庁ともすり合わせる必要があるのではないか」と、私は疑問を提起したことがあります。

個人情報保護法は、先の通常国会では継続審議となりましたので、秋以降の国会で再び審議されることになります。確かにこの法律は「個人情報保護」というもっともらしいうたい文句をかかげていますが、その本質には「言論、出版、表現、報道の自由」を規制しようとする意図があるのは明かです。しかし、この法律の問題点は、「言論、表現の自由」に対する規制、ということにとどまるものではないのです。

何度もこの法案を読みましたが、弁護士を20年余りやっている私のような人間から見ても、そもそも誰が「個人情報取扱事業者」に該当するのか、よくわからないのです。討論会に出席した藤井昭夫・個人情報保護室長に「(現職の国会議員でない私は)後援会のデータを10数万件持っています。また街の酒屋さんなども顧客名簿を持っていますが、これも個人情報取扱者に該当するのか?」と質問したら、答えに詰まっていました。

結局、この法律の狙いというのは、この世の中にあるコンピュータを官僚の統制下に置くということなのです。ですからコンピュータ(PC)を持っている人は、ほとんど個人情報取扱者になりかねないのです。そして、個人情報が私たちから漏れたらしいと官僚が判断すれば、例えば所轄の大臣が勧告を出し、それに従わない場合は、警察が裁判官の令状をもってコンピュータを全部持っていくことだってできるのです。

それゆえ、この法律は官僚の権益拡大のためにも利用されることにもなるでしょう。それはつまり、所轄の大臣が勧告を出さないようにするために――例えば、酒屋さんでしたら、財務大臣ということになるでしょう――、官庁OBを番犬として、業界が天下りとして受け入れることになると思います。また警察に踏み込まれたくない個人情報取扱者は、警察OBも天下りとして受け入れることになると思います。そこで「官僚によるコンピュータ支配」ができ上がることになります。

幸いにもこの法律は継続審議になりました。多くの方々にこの法律の問題点や危険性をアピールできる時間が与えられたことで、今度の参院選のわが党の重点政策のひとつとして訴えたいと思っています。 そしてこのような法律を国会で成立させないためにも、何とかこの参院選を勝ち抜かなければならないと思っております。

とりあえず、以上

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