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実体経済とは何ぞや (その2)

08年10月17日

No.963

世界同時不況を懸念する17日朝刊各紙

株価が乱高下している。私のような門外漢からみると世界中の関係者が博打をしているんではないか、という感さえする。昨日は下げたのだから今日は上がるだろう。丁か半か、playerか bankerか。博打は勝率50%というのが原則である。だから原理的には一方にずっと賭けていればそんなに負けない筈なのだが、それができないのが博打の“実態”である。

私はキン経を勉強したことがない。マル経は少し齧(かじ)った。若い人はそういわれても分からないかもしれない。キン経とは近代経済学、マル経とはマルクス経済学のことである。これもおかしいような気がする。近代経済学の反対語は、古典経済学でなければならない筈だ。そうすると、マルクス経済学は古典経済学ということになる。少なくとも右翼反動や洒落た現代の経済学者は、そのようなニュアンスでは使っていない。

大学時代に私もいちおう経済学の授業にでたことはある。しかし、最初にでた経済学の授業で、教授は数列のようなものを使って講義していた。数列は当時数学Ⅲで勉強させられたことである。受験科目ではなかったので、私は数列を勉強しなかった。だから数列は分からない。分からないことを使って説明されても、理解できる筈がない。それ以来、私は近経を本気で勉強しようと思ったことがない。

マルクスの著作はかなり読んだ。『資本論』も読んだ。『資本論』は難解な書物の代表だが、私には近経よりも理解できるものだった。少なくとも訳の分からない数学は使っていない。訳文は悪いが、英語版で読むと意外に分かりやすかった。当時の私の英語力はそれなりにあった。「初めはすべて困難である」は『資本論』の書出しの文章である。難しい『資本論』も第一章「商品」を理解すると、後はすらすらと読める。

『資本論』でもっとも基本となるコンセプトは、労働付加価値説である。労働付加価値説は現実の経済でそのままに現れないが、確率論的視点を加味すれば基本的に納得できる。政治家に求められるのは経済の大きな流れである。労働付加価値説で社会の経済の流れは基本的に理解できる。株をやるわけでも商売をやるわけでもないので、私は近経を勉強する必要に迫まられなかった(笑)。『資本論』は、やはり“古典”なのであろう。古典というのは、時代の変遷を乗り越えて生き続けるものを指す。古文書という意味ではない。

閑話休題。株価の乱高下は、労働付加価値説で説明できるものではないのだろう。『資本論』は貨幣について論じているが、株については論じていなかったと思う。現在の経済において、株は大きな存在である。だったら、近代経済学は株について確かな理論を述べているのだろう。株をやる人はそれをキチンと勉強すればよいのではないか。そんなものをいくら勉強してもダメだというのならば、その理論がまだ完成してからなのだろう

金融工学などという言葉を耳にする。人間工学などという言葉もあった。政治工学という言葉を使う政治家もいた。確か河野洋平衆議院議長は若い頃、政治工学という言葉を使ったことがあった。社会科学を勉強する者にとって、人間や社会の動きを“工学”という視点でみることに違和感がある。人間という存在は、そもそも不可思議な存在なのである。しかし、現実的な存在である人間の動きは、個々の人間の恣意性を捨象すれば一定の法則や原理で動いている筈だ、というのが社会科学を探求する者の基本的信念である。

柄にもなく難しいことを述べた。実体経済を論ずる場合は、ちゃんとした経済学に基づいて議論する必要があるのだろう。私は労働付加価値説の知識しかないので、ショートレンジの経済についてあまり論じないのである。株価の動きなどとても私の手には負えない。しかし、私は経済の実態に関心がある。注意をしている。タクシーに乗った場合、必ず運転手さんに詳しく具体的に“調子”を尋ねる。債務整理の相談や依頼を受ける場合にも、生活状態を詳しく尋ねる。経済の実態を丹念に知ると、経済の実態がみえてくる。実体経済の分析はその延長線にあるのではないだろうか。債務整理の現場で感じる実態のひとつを“法の庭”徒然草No.24に書いておいた。

それでは、また。

  • 08年10月17日 06時59分AM 掲載
  • 分類: 6.経済

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