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衆参ダブル選挙は、憲法違反。

16年05月07日

No.1827

衆参ダブル選挙の有無が、話題になっている。“解散”に触れると、くだらない政治家や評論家の発言でも大きく取り扱われるのは、昔も今も同じである。しかし、「衆議院の解散・総選挙が何時行われるか」などということは、政治的にほとんど意味がない。その選挙で、政府が何を国民に問い、国民がどのような審判を下すのかということが、政治的に意味のある発言なのだ。ところが、相変わらず衆参ダブル選挙の有無を、さも重大そうに発言している政治家や評論家が多くいる。そういう輩に、次の小論文を読んで聴かせたいものである。

衆参同日選は、権力の自殺行為

選挙の技術的利点や党利党略、政界などから、衆参同日選の有無が話題となっている折、国権の最高機関たる国会の一翼を担う衆議院の一員として、権力の論理と倫理の面から考察してみたい。

《 権力の論理 》

「最悪の政府といえども、無政府状態よりましである」

権力の必要性と存在理由を喝破した言葉である。このこと故に、実に多くの残虐にして理不尽な権力が存在してきたことか!

歴史は進歩し、被統治者の同意のない統治は許されなくなった。即ち、民主主義である。しかし、個々の統治の行為に、個々の国民の同意を必要としたのでは、統治にはならない。統治=支配の本質は、国民に対し、個々の国民が同意しないことでも強制することにある。

これが権力の論理であり、本質である。民主主義社会における権力といえども、この本質はいささかも変わらない。

《 権力の倫理 》

権力の論理・本質がこのようなものであったとしても、いかなる権力といえども、その正当性を求める。正当性の保持に努めない権力は堕落し、崩壊する。権力の正当性保持のためになす努力が、権力に求められる倫理なのである。

民主主義社会における権力には、他の政治形態に較べ、この倫理が強く求められる。被統治者の同意ある統治が民主主義の本質だからである。

《 わが国の権力の正当性の根源 》

日本国憲法は、

  • 国会は、国権の最高機関である (四十一条)
  • 国会は、衆議院および参議院の両議院で構成する (四十二条)
  • 両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する (四十三条)

と定める。

わが国の国家権力の正当性の根源は、衆議院および参議院の選挙の結果に求められる。選挙の結果とは、両議院において獲得された議席数であることはいうまでもない。

《 権力の正当性が瓦解する 》

衆参同日選挙が行われた場合、衆議院と参議院の選挙の結果は同一とはならないであろう。少なくとも、同一となる保証は何もない。それは、選挙制度の違いからして避け難い。

衆参同日選が行われ、衆議院と参議院の選挙の結果が違った場合、いずれが国民の本当の意思かという問題が生ずる。

衆議院の選挙の結果が国民の意思だといえば、参議院の選挙の結果は否定され、参議院の権威は失墜する。この逆も同じことである。

衆参同日選は、わが国の権力の正当性の根源たる衆議院もしくは参議院の、いずれかの権威を決定的に失墜させるおそれがある危険な行為である。

内閣が自から求めて衆議院を解散し、衆参同日選を行うことは、権力の正当性の保持に努めなければならない権力者の倫理にもとる行為と断言せざるを得ないのである。

昭和61年6月
衆議院議員      白川 勝彦

 いきなり小難しい文章を読んで頂いてしまい、失礼した。この小論は、昭和61年初夏に中曾根首相が画策していた「衆参同日選挙」(後に"死んだふり解散"といわれる)を批判するために、私が発表した意見書である。この「衆参同日選挙」は、結果として自民党の〝地すべり的〟大勝となり、中曾根首相以下党執行部の得意満面の中で、すべての批判は葬り去られ、私の主張も、歴史のなかに埋没してしまった。

しかし、私の主張はその後も全く変わることはない。衆参ダブル選挙は、私に言わせれば"権力の自殺行為"となる惧れがあり、国家や権力の正当性を何よりも大切にしなければならない日本国憲法下の総理大臣が、断じて行ってはならない行為なのである。いま、多くの憲法学者が政治や選挙に参加している。その中で衆参ダブル選挙が話題となっているが、そういう人々からも、衆参ダブル選挙の法的問題性について言われないのが、私には不思議である。ぜひ、検討を願いたいものである。

さて、アメリカでは、トランプ氏の共和党大統領候補指名が確実となった。今度のアメリカの大統領選挙は、今まで以上に、わが国だけでなく世界中から関心を集めるだろう。アメリカがどう変わるかは、アメリカ国民が決めることだ。しかし、アメリカがこういう風に変わりたいといっても、世界がアメリカのいう通りになるとは限らない

ゴールデンウイークも、この土日で終わる。10連休なんて人もいたようだが、そんなに休んで大丈夫な人は、ごく恵まれた人々なのであろう。アベノミクスなどといって浮かれているのは、安倍首相とその妄信的信者だけである。連休中、ヨーロッパとロシアを歴訪した安倍首相が、世界にもアベノミクスが必要だと(のたま)ったそうである。「バカも休み休み言え」と、ぶん殴りたくなる。

それでは、また。

  • 16年05月07日 09時35分PM 掲載
  • 分類: 5.憲法問題

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