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肝心要の事。

14年07月12日

No.1683

集団的自衛権の行使容認が閣議決定されたのは、7月1日であった。それから、集団的自衛権の話題はマスコミから消えてしまった。あるのは北朝鮮問題、兵庫の号泣県議問題、台風8号報道、脱法ハーブによる交通事件など。執拗に流されたこれらは、早晩結果が出てくる問題だし、マスコミがそんなにシャカリキに報道する程の事ではないと思っている。しかし、集団的自衛権の行使問題は、やはり継続的に取り扱っていかなければならない話題である。

最近私は、集団的自衛権の行使を容認すべきとする人々の論を、意識的に読むようにしている。もちろん、安倍首相の言は一字一句フォローしている。読売新聞や産経新聞には、勝ち誇ったような論説がたくさん見受けられる。これらの論説は、集団的自衛権の行使を容認することによって、わが国の軍事的抑止力が高まり、他国の侵略の意図を挫き、万一の場合に国民の生命と財産が守られると主張している。これらを読んで多くの国民は、本当に「あぁ、良かった」と思うのだろうか。

私は、否と思う。彼らの論説には、軍事論や経済論はあるが、憲法論がない。集団的自衛権を行使できるか否かは、憲法9条に関わる憲法論なのである。およそ憲法とは、その国や国民の理想や希望を内外に闡明(せんめい ― 明らかにすること)する政治宣言なのである。日本国憲法は、昭和21年わが国と国民の理想と希望を闡明にした政治的宣言であった。

National Archives NWDNS-111-SC-210626
戦艦ミズーリーに到着した日本側全権代表

ポツダム宣言を受諾し、戦争を終結したのは、昭和20年8月15日。日本国憲法が公布されたのは、昭和21年11月3日。この1年3ヶ月のわが国と国民がおかれていた状況を語り始めたら、キリがない。しかし、それは日本国憲法で闡明された理想や希望の高さを、いささかも損なうものではない。アメリカ憲法やフランス憲法も、独立戦争や革命後の混乱の中で制定された。

日本国憲法
▲ 日本国憲法原本
「御名御璽と、2頁目の大臣副署」

日本国憲法制定当時、わが国は武装解除され、軍隊はなかった。占領軍であるアメリカ軍は、わが国に駐留しており、わが国独自の自衛権を云々できる状態ではなかった。しかし、憲法を制定した当時の国会議員は、わが国が他国に戦争を仕掛けなければ、わが国が他国から侵略を受けることはないであろうと確信していたのである。それは、第二次世界大戦後の国際関係で、正しいと証明された。

わが国の安全保障をめぐる環境が大きく変わったと安倍首相とその仲間は主張するが、東西冷戦時のソ連邦の軍事力は、極めて強大かつ危険であった。わが国は、自衛隊と日米安保条約で、わが国の独立と安全を守ってきたのだ。安倍首相とその仲間が想定している軍事力とは、一体どこの軍事力を指すのであろうか。それは、嘗てのソ連邦の軍事力に比し、どれほど強大かつ危険だというのか。

安倍首相は集団的自衛権の行使容認の閣議決定したのが余程うれしかったらしく、今回のオセアニア諸国歴訪で、これからは集団的自衛権の行使ができるようになったので、より積極的に世界平和に貢献できると発言している。言葉のレトリックとしては喋り易くなったのかもしれないが、閣議決定の中身を詳細に説明すれば、他国の首脳から失笑をかうであろう。

それとも安倍首相は、積極的平和主義の名の下に、アメリカと一緒になって世界の何処にでも出っ張っていくというのだろうか。アメリカは助かるというかもしれないが、そんな積極的平和主義は、どこの国も No Thank You だろう。そして何よりも、日本国民が No Thank You というであろう ─ いや、言わなければならない。マスコミは、こうしたことを逐一明らかにしていく責務があるのだ。あまりくだらないことに電波を使うな、と言いたい。

今日は、このくらいにしておこう。それでは、また。

  • 14年07月12日 07時59分PM 掲載
  • 分類: 1.徒然

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